2015/05/27

『私の少女』

『空気人形』という映画、ご覧になったことがあるだろうか。
とてもすばらしいので、叙情的な映画が好きで、未見の方にはおすすめしたい。個人的には是枝監督の最高傑作ではないかと思っています。

で、その『空気人形』で重要な役柄を見事に演じていた、ペ・ドゥナが主演の『私の少女』を観てきた。


良かった。なのに映画館では、上映前からイビキが・・。しかも、途中からイビキはステレオ(左右二箇所)に・・。なぜ・・。とてもいい映画なのに・・。

そりゃ目が覚めるような、ビルが爆発するとかさ、派手なカーチェイスとかはないけどさー。お金払って映画見に来て、上映前から寝てるっていうのがよく分からんわ。

昔なら私、イビキなんて聞こえた日にゃあそっちが気になって気になって映画に集中できなかったと思うのですね。 でも今日はさほどでもなかったなぁ。さほど集中を削がれることもなく、最後まで観ていられました。よかった。


映画の中で描かれるセクシャル・マイノリティの立ち位置。その描写は多くないですが、日本と似てるなぁという感慨を持ちつつ観ました。2000年代以降の欧米の映画だと、もうカムアウト済み、そこからどうするか、っていう話が多いと思うけど、やっぱり韓国の社会状況つーかね、日本もだけど、まだまだなんだよなーと思いました。まる。

最後のほう、ペ・ドゥナがなぜああいう行動を取ったか。
申し訳ないけど、分かる人にしか分からないのではないかと思った。疎外された経験がないと。理解できない人もいるよねきっと。そんなあなたはたぶん幸せ者です。いじめられたこととか、ないでしょう(いきなりの恨み節)。
疎外された者どうしが強く共感し、助けあうというラストでした。俺はハッピーエンドとみたが、さてあなたは。

2015/04/27

『ザ・トライブ』

この映画を人になんて説明すればいいだろう。
「見てはいけないものを観てしまった」かな。

映画は好きで時々観るけど、やはり年齢とともに好きなタイプの映画、映画の好みも変わるのかもしれない。
『ザ・トライブ』は、おそらく10年前に見ていたら大好きになっただろう。

傑作です。それには違いない。
ただ、映画で「傑作」といってもいろいろある。何か突出している、劇薬のような凄みがあったり、あるいはホンワカととらえどころなく、それでもただずっと観ていたいような気にさせられたり、またあるいはしみじみと幸せな気持ちにさせてくれる物語性を備えていたり、詩情あふるる映像が素晴らしく美しかったり、本当にいろいろなんである。

で最近は、劇薬タイプの映画を観ると、その凄みに参ってしまう。
たぶん、観る方も弱っているのだ。

本作では目を覆いたくなるようなシーンがあった。
もちろん、ただの悪趣味ではない。必要な、あるべくして描かれたシーン。

しかし、参ってしまった。「そこまでする?」って思ってしまうのだ。濃厚すぎる、うまみ成分が過剰な料理を食したときのように、少しゲンナリするのだ。


これに似た過剰さ、例えば有名どころだと『愛のむきだし』なんかもそうじゃないだろうか。どうも最近は多いような気がする。

でも一方で『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』や、『おそいひと』などはゲンナリしない。大好きだったりする。「過剰さ」でいえば、同じように過剰であるのに、だ。
そして『ファニーゲーム』。あんなにひどい映画はないと思っている。いわば、劇薬中の劇薬。でも、最も好きな映画のひとつだ。


何が言いたいかよく分からなくなってしまったが、要は理屈でなく単に好き嫌いってことなんだろう。なんじゃそりゃ。

で、『ザ・トライブ』は結構好きです。重要な作品だと思います。が、観ていてとてもつらいシーンがありました。 ふう。

以上。

2015/01/14

光輪


植野隆司7インチ『光輪』買った。買ってしまった。

先のNHK-FMの放送で出演者みんなで「あー」「あ」「あー」「あ?」って唄ってた曲があったのだがとてもいい曲だった。それがこの『光輪』の歌詞なしバージョンだったと知り、俄然この7インチが欲しくなる。

植野氏のツイートから、大阪で売ってそうな店を嗅ぎとり、立ち寄り。ありました〜。
その店には他にもテニスコーツ関連のアナログがあり、まとめて買いたかったが堪え 、これだけを買う。

さて家に帰って、何回も聴いている。「これを名曲と言わずして何を名曲といおうか。」的なことを言いたくなる。誰にだよ。ジャケットの元ネタはこれってまじですか。
B面の柴田氏のバージョンも良いですが、今のところはもっぱらA面の植野氏ご本人の歌唱をきいております。

さて、アナログ盤からスマホに取り込むのが面倒だ。同じ音源のCDが同封されてたら最高なのに。John Grantの『Pale Green Ghosts』のアナログ盤にはCDが付いてきて最高だった。New Orderの『Lost Sirens』もそうだったかな。ファイルがダウンロードできますってのよりさらに手軽で、一消費者としては最高なのです。

2015/01/09

YOU HAVE GOOD SENSE


majikickのボックス「YOU HAVE GOOD SENSE」を買った。買ってしまった。

元日、NHK-FMにテニスコーツが出ていて、それをリアルタイムで聴いてやっぱりいいなあと。あれは生放送だったのかな? 途中、テニスコーツ主導で自然発生的にスタジオ内セッションが始まるところなんかぞくぞくした。こちらの曲目リストでいうところの「“曲は未来”のインプロヴィゼーション」。その後の、番組司会の大友さん、ゲストの細馬さんだけでなくアナウンサーの方も一緒になってノリノリの展開にどきどきした。
最近はなんとなしに日々息苦しさを感じていたこともあり、あまりに自由なその流れがなんか嬉しくて、聴いてるうち泣けてきてしまい(歳のせいで涙腺が)。新年早々、いいもの聴かせていただきました。

テニスコーツはYouTubeでバイババビンバ観ててノックアウトされていたところに(あれ観てハマった人多いんじゃないか)、この番組を聴いたことがダメ押しだった。

であれば、普通に「バイババビンバ」が入ってるアルバムを買えばいいのに、7枚組で6千円とかおトク!ってこっちを買った。買ってしまった。

まだ聞いてる途中ですが前半はやはりというか自由な音の羅列で楽しめず、「ああ、こういう感じね」と身構えてしまった。素直に聴けず、批評的になる。それは自分の感性が老いた証拠だとも思い、いささか悲しくもあり。
いっぽう後半はほっとする感じです。メロディが立っています。逆に言えば、トンガリキッズだった中学生のときに聴いても良さが分からなかっただろうなと思ったり。

そういや近頃アルグリーンとかカーティスメイフィールドとかニールヤングばっかり聴いてた。全部図書館で借りて。だめだわ、冒険心がない。お金もない。


CDのリッピングにはsoundKonverterを愛用しておりますが、これってKDE系なのね。うちのデスクトップ環境はMATEで、そのせいか知らんが、Alt + Tab キーでアプリ間を行きつ戻りつするときに soundKonverterだけうまく扱えないんだよなあ。

具体的には、たとえば Firefox から Audacious に切り替えるんだったら、Alt + Tab キーで


となって、逆に Audacious から Firefox に戻るときも


でキーボードだけで操作できて快適なんだけど、 Firefox から soundKonverter へは


となり、なぜか soundKonverter は選ばれない。soundKonverterのアイコンは左下の音符みたいなやつ。順番もおかしくなっている。結局マウスでカチカチやらないといけない。

なぜだろう? Alt + Tab は多用するので、これはちっとばかしストレス。

soundKonverterは機能はすごく良くて気に入っているので今後も使い続けると思うのだが、他にもウィンドウサイズが変テコになって設定画面の一部が見えなくなったり、フォルダ選択ダイアログで前回の選択位置を覚えてくれなかったり(これはKDEのアプリ共通か?)、いくつか挙動がおかしい部分があるのが玉にキズ。いつか治ったらいいなあ。バグとして報告するのも面倒だし・・。Linux使ってるくせに他人任せですみません。

あと他にも書きたいことがあったけど忘れました。年を取ると物忘れがひどくなるっていうけど、冗談抜きで、日常生活に支障をきたすレベルでやばいナウ。記憶力の話は前回も書いてたな。とほほ。


追記(2015-01-25)---------
件のラジオ番組、YouTubeにありましたよ! テニスコーツの出演は、4の5:26ぐらいから。

2015年1月1日ラジオ1 大友良英さん
2015年1月1日ラジオ2 大友良英さん細馬宏通さん
2015年1月1日ラジオ3 大友良英さん ボアダムス、コントーションズを紹介する
2015年1月1日ラジオ4 大友良英さん細馬宏通さんテニスコーツ
2015年1月1日ラジオ5 大友良英さん細馬宏通さんテニスコーツ

2015/01/02

Save Me


映画を観ても、あとあと覚えてないことが多い。今年は何か書いて記録に残して行こうと思う。
音楽とか、読んだ本も、できる範囲で。

自分のための記録をなぜWEB上に公開するのかといえば、特に理由はないです。自己顕示欲なのか、承認欲求なのか。強いていえば、公開する文章なんだと思えば書くときに言葉を選んだり体裁を整えたり、多少は読みやすさに配慮するはず。見栄っ張りなもので。


さて2015年最初に観たのは『Save Me』。 IMDb




もともとは、こちらで紹介されているのを読んで、「観てみたいなぁ」と思ったんでした。
まあ、日本で公開されるはずもなく(されてないよね?)、今まで観る機会はなかったんですが、偶然とあるサイトで念願かなって観ることができました。(2015/01/10 追記: "とあるサイト" はGoogle曰く「疑わしいサイトとして認識されています。このウェブサイトにアクセスするとコンピュータに損害を与える可能性があります。」だそうですので、リンクするのをやめておきます。)

字幕もないので内容を理解できたか甚だあやしいが、なかなか良かったです。できれば字幕つきで観直したい。無理か。

内容は、IMDb の要約だと、
A sex and drug addicted young man who is forced into a Christian-run ministry in an attempt to cure him of his "gay affliction", where instead he is faced with the truth in his heart and spirit.
「セックスとドラッグに溺れていた青年が無理やり、クリスチャンが運営する "ゲイの苦悩" を癒やす寮(?)に入れられる。そこで彼は自分のこころ、魂と向き合う。」で合ってる?

その寮母さん(?)ていうのかな。寮生(?)たちへの愛情はあるけれども、(ネタバレになるからあまり書きませんが、)過去いろいろあって頑なになっていて、 「神の愛こそすべて」であり、やや独善的、支配的になってしまっている。観てて、『カッコーの巣の上で』の婦長を思い出した。

以前ならこういう「支配者」キャラには嫌悪感しかなかった。
でも今回は、「この人も大変なんだろうな」と思えた。 おれも少し成長したのでしょうかね。


主人公のルームメイト役のRobert Bakerさんが良かった。眉毛つながってるとことか、他人とは思えない。